代表取締役社長
2004年 一橋大学商学部卒業
2005年 外資系戦略コンサルティングファーム・モニターグループ入社
2007年9月 モニターグループ退社
2007年10月 株式会社レアジョブ設立 代表取締役社長就任
レアジョブは、Skypeを使ってフィリピン人講師とのマンツーマン英会話を25分129円から受講出来る格安オンライン英会話サービスを提供するグローバルベンチャー企業。 英会話講師数、レッスン提供数は業界No.1。講師もフィリピンの東大と言われるフィリピン大学の学生、卒業生がメインであり講師の質が非常に高い。
学生時代のビジネス経験
「16から17才頃に大前研一氏の著書に出会って彼の考え方に共感したんです。大前氏主催の『一新塾』に参加もして、起業家・冒険家・政治家・NPOのリーダーなど、自分で道を切り開いている方達のお話を聞きました。これが、将来自分で道を切り開きたいと思うようになったキッカケです」
一新塾とは1994年に誕生した 「社会の問題解決に自ら立ち向かうことの出来る主体的市民を育むために誕生した学校」。また、卒塾生は3500名を超える。氏は当時高校生にして入塾を果たし、塾内では最年少であった。
「それから、大学1年の冬に経営者と学生の交流会に参加しました。そこで出会った経営者の方とたまたま意気投合し、彼の会社でインターンをすることになりました」
社長の持っていたアイデアと氏のアイデアが一致したのだそうだ。
「インターンをやっていくうちにビジネスが楽しくなってきました。気付けば、大学を休学までして1年半フルタイムでインターンをさせてもらっていましたね(笑)」
氏曰く、「チャンスをものにする為に大事なことがあるとすれば、『常に動き続けること』、『チャンスが来た時に逃さずつかむこと』」
「そして、その会社で複数の新規事業を担当しました。一つ目はあっけなく失敗。しかし、二つ目のPC向けポイントサービス事業で小さく成功し、半年で粗利益1,000万円を稼ぐことに成功。そこで、さらに規模を拡大するため、社長は人と金を拡大してくれました。しかし、複数の人が動き出し、マネジメントが始まった瞬間に全然上手く行かなくなったんです」
取引先に謝罪に行った所、当時ライブドア社長堀江貴文氏が出てきたそうだ。大きな損失を出したにも関わらず、「これまでのことは仕方がないので、今後の事を考えましょう」と言われたらしい。
「この失敗の反省を端的に言うと、僕は1人で仕事をしている分には優秀だった。しかし、複数の人が動き出し、マネジメントが始まった瞬間に僕は全然うまくやれなかった。つまり、0から1を生み出すのは得意だが、1を100に持っていく能力が足りなかったということが言える」
「仕事」は三種類に分類されるという。「0から1」、「1から100」、「100から101」の3つだ。
「そして、挫折感を引きずりながら2年生の夏に大学へ戻りました。そこで、僕に欠落していた「1から100」の能力を補うために会計系のゼミへ入ります。なぜなら、数字に強くなることで将来予測や人的なマネジメントに役立つと思ったからです」
起業に失敗は付き物。大切なことは失敗からなにを学ぶか。
「確かに、一般的に好きな事を仕事にするのはリスクが大きい。しかし、僕のように早めに失敗することはリスクを最小限にしてくれる。僕は失敗しても就活という選択肢があった。しかし、27、28才になって失敗しても後戻りができない。だから、いかに早く失敗するかが大切なんです」
レアジョブを立ち上げた理由
「大学卒業後は就活をして戦略コンサル会社に内定を貰いました。そして、卒業後は中国に半年、メキシコにも4ヶ月いました。コンサルへ就職したのは、マネジメントの最先端が戦略コンサルだと思ったからです。もちろん、起業を見据えてね」
起業を考える学生にはコンサルへの就職を希望する者も多いだろう。
「コンサルへ就職はしましたが、三年以上いるとコンサルに染まってしまいます。戦略コンサルの仕事が社長の仕事だと思い込んでしまうんです。実際には、戦略を創る事は経営者の一機能にすぎない。もっと大切な事はより大きなビジョンを持ち、それに向けて人々の気持ちを動かしていく事。だから、三年以上働けばより上手く経営できるとは思わない」
そして、二年半みっちり働いた後、レアジョブ社を立ち上げた。
「どうしてSkype英会話だったのか?と聞かれるけど、好きな人にどんなところが好きなんですか?という問いと一緒で、答えられない(笑)ただ、直感的にドキドキした。実を言うと、事前の市場調査ではSkype英会話は全然ダメだった。しかし、会議の時もレアジョブのアイデアのことばかり考えていて、話が全然入ってこなかったぐらいやりたい仕事だった。自分のやりたいことはコンサルよりもこっちだと思って会社をやめた」
社員をモチベートしたいならモチベートするな!
ベンチャー企業が最も苦労することは、いかに優秀な人材を集めるかだ。なぜなら、優秀な学生は知名度の高い企業に目が向いてしまうから。しかし、レアジョブには名だたる超一流企業から転職して来た社員、優秀な学生がこぞってやってくる。
「大事なのは、初期段階を優秀な人で固めること。優秀な人は優秀な人を呼び寄せるので、優秀な人をいれちゃえば優秀な人だけをスクリーニングしてくれるし、勝手に働きたいと思って面接受けに来てくれる」
レアジョブのフィリピン人講師の質を担保するためにも、講師の採用は紹介制を取っている。
「しかし、優秀な人は簡単に見抜けないので、給与の考え方の説明や、入社後の業務のすり合わせなど大事な局面には惜しみなく時間をかけている。そこさえ焦らずにじっくりと向き合えば、本当にうちで仕事をしたいと思っていて、かつ、コミットメントが高い人が集まる。面接で重視するのは、その人が今までに面白いことをやってるかどうか。さらに、その人がどういう人生を歩んでいくのかを聞いて、レアジョブとその人の人生がWINWINの関係になるかどうかです」
また、社員をいかにモチベートするか?もレアジョブ流だ。
「逆説的だけど、社員のモチベーションを高めたいならモチベートしないことだね。モチベートされる要因は、給与や余暇など人それぞれで逆効果にもなり得る。そもそも、「頑張ろうよ」と言って、やっと頑張る人は会社にとって要らない。だから、自分から動いてくれる人を採用の段階で採ることが大事」
迷ったらポジティブな方を選べ!
今の学生は安定志向で内向きだと言われる。そんな彼らが、外に一歩踏み出すために必要なことは何だろうか?
「重要なのは、迷ったら積極的な選択肢を選ぶこと。悩んだ時にほんのちょっとだけ積極的な行動を選んでみてください。すると、道が開かれ、それが積み重なると大きな変化に繋がる。選択で悩むのはどっちを選んでもメリット・デメリットがあるわけで。積極じゃない方が世間一般の「普通通り」。一方で、積極的な方が他の人とは違う行動で本来の自分らしい行動。そうやって、少しずつ足を踏み出していくこと」
大学1年生の時にベンチャーで新規事業を3つ任された事も、小さな一歩の積み重ねの結果。
「僕の場合、一個一個は他の人とはちょっとズレただけのことだが、結果的にそれが大きな一歩になっていた。だから、大きな一歩を踏み出すにはどうしたら…と考えるのではなく、小さな一歩を踏み出すのはどうしたら…と常に考えて、迷った瞬間に積極的な選択肢を選んでいくこと」
(文 坂本@thetacpa)
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