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This article was written on 30 1月 2012, and is filled under インタビュー記事累計, 本間毅氏.

いま日本人が持つべき「目標」×本間毅氏(2)


いま日本人が持つべき「目標」×本間毅氏(2)http://entrepreneursmind.net/wp-content/uploads/2012/01/0a306f2d940cc587ceeae8a1574e2e0d-150x150.jpgEntrepreneurs' Mind

いま日本人が持つべき「目標」×本間毅氏(2)今回は本間毅さんへのインタビュー第2弾です!
前回の記事はこちら→「ここ数年はスタートアップブーム×本間毅氏(1)

本間毅(@thonma)

1974年生まれ。中央大学在学中に起業。1997年にWebインテグレーションを行うイエルネット設立。ピーアイエム株式会社(後にヤフージャパンに売却)の設立にも関わる。2002年イエルネットの全営業権を譲渡し、2003年ソニー株式会社入社。ネット系事業戦略部門、リテール系新規事業開発等を経て、2005年よりグループ内のネットメディア開発。2008年5月よりアメリカ西海岸に赴任。電子書籍事業の事業戦略に従事。現在はシリコンバレー在住。2012年2月楽天株式会社執行役員就任。

blog「イントレプレナーの視点」:http://takeshi.weblogs.jp/

いま必要なのは目指すべき目標!

「日本人は目指すべき目標が必要だと思うんだ」

子供がサッカー選手になりたいのはJリーグがあるから。そして、野球選手になりたいのはプロ野球があるからだ。

「さらに言うと、大リーグに行きたいと言うのは野茂がいたから。そのおかげでイチローや松井が海外で頑張っている。だから、僕は『野茂』に当たる人を探して支援しようと思ったんだ。その人が成功して野茂のように目指すべき目標になれば、別にその人を支援して終わりじゃなくていろんなことに繋がるよね。そんなわけで、海外に挑戦してくる日本人起業家を支援しています」

ビジネスの世界でも目標となる人がいれば、子供の夢にもなりうる。

「今の日本を元気にするのは、世界で活躍する若い力です。なでしこジャパンも良い例。若者たちが海外で走っている姿を見れば、後ろからついてくる若者はたくさんいるはずなんだ」

海外で起業すべき理由①「マーケティング」

もちろん、海外で起業するかどうかはその人の考え方次第だ。経済的な理由やその人の向き不向き、英語の出来など、いろんな方面から考えてもいい。

「人によってはアジア、ヨーロッパ、ブラジルで起業したいって人もいるでしょうね。どこがいいとかは決められないけど、ただこれだけは言えることがある。ビジネスの面から、海外に行ったほうがいいと思う理由は2つ。それは、プロダクトプランニングとマーケティングです」

氏は、シリコンバレーでさまざまなサービスを見てきた体験からこの2つの理由を掲げる。

「1つは、プロダクトプランニング。例えば、コミュニケーションツールを作りたい起業家がいるとします。ここで、日本でいうコミュニケーションツールの姿と、現地のコミュニケーションツールって違うよね?UXやUIもアメリカ人が思ってるのと違う可能性がある」

今は日本国内でプロダクトを作ったとしても、世界的なマーケットに投入できるいい時代。しかし、現地のライフスタイルやマーケットを含めて、ターゲットのことを知らなければ、世界で流行るプロダクトは作れない。

「アメリカのプロダクトが世界中に広がるのはアメリカ人のUIやUXのレベルが高いからなんだ。アメリカには多様な人種、多様なカルチャーがある。その中での共通言語としてのUIやUXを作りこまなければいけないから、かなり洗練されたものが求められる」

たしかに世界で使われるためには共通言語(UI、UX)で造り込む必要がある。例えば、これを「書籍」の話に置き換えても、そこにはUI、UXの不一致が生じてしまう。なぜなら、文体ゆえに日本人は右から読むが、英語圏では左から読むからだ。
さて、もう一方の理由は何であろうか。

海外で起業すべき理由②「プランニング」

「もう1つは、マーケティング。かつて、成功した日本企業は『モノ』を売っていた。例えば、家電とか車とかね。モノって姿・形があって、手に触れられるし、かつ数値でスペックを表すことができる。だから、売る人の言語なんて関係がなかった。ところが、『サービス』っていうのは、スペックがすごいからといっても売れない。つまり、メディアに出たり、コミュニケーションを取ったり、積極的に存在を知らしめていかなければいけない。そういう意味で海外にいく必要がある」

Wondershakeの鈴木仁士氏(@Doubles9124)がいい例として挙げられる。彼は積極的に海外のピッチコンテストに出場している。その結果実際にいくつか受賞もしている。そういったマーケティング戦略が今の日本のスタートアップには必要なのだ。

「ただ、この2つの理由は『あえてロジカルに言えば』の話です。もちろん、行きたくないと思えば行かなければいいし、行きたいと思えば行けばいい。行くか否かによらず、成功に見合うだけのサービスを作ればいいこと」

日本のスタートアップ業界の動き

「日本でもスタートアップ界隈の動きが活発になっていますね。みんなでチャレンジをして、成功事例を出し、日本全体の産業の活性化につなげる。非常に面白い動きだと思います。ただ、日本で海外に行こうと盛り上げる風潮はいいんだけど、サンフランシスコ側で受け入れる人たちってほとんどいないんですよ。あったとしても、4,5社くらいで人数でいうと10人いないですよ。だから、ここが不十分」

氏は日本からのスタートアップを支援する側の人間として、今の現象をあえて批判的に語る。

「お金が回らないとエコシステムとして回らない。雰囲気だけ生まれても仕方がなくて、Y-comみたいなのが出来たねっていっても、GoogleやFacebookのようにお金をもって買収を仕掛けていき、新たなチャレンジがさらに新たなチャレンジを生むみたいなエコシステムが作れたらすごいいいんだけどね」

また、違った側面からも氏は鋭く指摘する。日本人の考え方や風土についてだ。

「さらに、日本人は企業買収についての考え方を改めなければならない。最近はだんだん良くなってきたのかもしれないけど、買収が企業の乗っ取りみたいにすぐ言われるよね。でも、買収は一つの手段なんだ」

これが成功事例として当たり前になること。それには、メディアが彼らを支えることが必要だ。いくらソーシャルメディアが活発になった今でも、テレビの影響力は未だに大きい。だから、マスメディアとうまく共存していかねばならない。

「ただし、成功事例が出るようになったとしても日本人の妬みの文化を改めねばならない。例えば、成功した企業に対して「あいつら別にたいしたことないくせに…運が良かったな!」みたく思っちゃう人が多い。もっと、「彼らのように自分も頑張ろう!」と素直に思ってくれればいいのに(笑)人の成功をバネに、自分の成功に向けて頑張ろうという方向に持っていかなければ日本にシリコンバレーは生まれないと思う」

続きはこちら→いま日本人が持つべき「目標」×本間毅氏(3)

 
著者プロフィール: Samurai Incubate Inc.所属 Entrepreneurs’ Mind編集長 両角将太
早稲田大学政治経済学部経済学科在学中。
起業家インタビューの繋がりがキッカケで
Incubate FundやSamurai Incubateと関わるようになり、Samurai Incubateに入社。
現在は、Samurai Startup Islandにてイベントやメディア、SSI施設の運営を担当中。
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