今回で一ツ木さんの記事は完結になります。
前回の記事はこちら→起業家の存在意義は「問題解決」×一ツ木崇之氏(1)
2003年4月株式会社ベンチャー・リンク
2005年8月デジパ株式会社
2006年5月株式会社ROI
2010年7月株式会社スタラボ創業
2011年3月Grow!Inc創業
HP:http://growbutton.com/
マネタイズから逃げちゃダメだ!
「Grow!は決済サービスを利用してるので、スタートアップにしてはマネタイズしやすいモデルだと思っています」
いまのITサービスの多くは『マネタイズ』を課題にしているところは多い。しかし、その中で氏はマネタイズに自信を持っている。
「まずは、Webサービス(PC)上で“どうマネタイズを成功させるか?”を考えています。というのも、今の時代の『決済』ってまだPC上じゃないですか?PC上のサービスでマネタイズが出来る土壌を作り、徐々にスマホへの対応を進めていこうと考えています。」
スマホアプリであるinstagramやfoursquareも、あれだけユーザーがいるのにマネタイズに苦戦している。ユーザーが増えることとお金を稼ぐことは決定的に違う。
「僕はまだ黒字化を成功させた訳ではないので、マネタイズについて語れる立場ではないですが、一つだけ言えることがあります。それは、これからはビジネスモデルだけでなく、マネタイズのこともしっかり考えなくてはならないフェーズに入っているということ。これまでは『PVやユーザーを増えそう』という期待だけで投資家の目についていたかもしれないけど、最近の投資家はマネタイズを意識するようになってきていると感じています。」
投資家の目線が変わってきたというのは、どうやって感じたのだろう。
「サンフランシスコやシリコンバレーにいると、Y-combinatorや500Startupsに出資してもらったスタートアップの生の話を聞くことがあります。彼らの中には、出資されてすぐに黒字化をしたサービスもあります。今後はマネタイズをしっかり考えているサービスへの出資が進むのでは?という話を去年の秋頃から聞くようになりました」
そして、日本でも間違いなくこの傾向は訪れる。
「実際、スタートアップがマネタイズを意識して、考えて、実行に移すことって大変だと思うんですよ(笑)なにかしら効果的な広告手段を考えたり、決済手段を導入したり、それを運用する道も考えなきゃいけない。でも、この大変な問題から避けてはいけないと思っています。だから、スタートアップの時期からでもマネタイズを考える事から逃げてはいけないと思っています。考える事は誰にでも出来ますから(笑)」
起業仲間は家族だ!
「いまは5人のチームでやっています。CEO、CTO、CCO、Developper2人で、あとインターンが1人です」
今のチームはどういう経緯で集めていったのだろう。
「去年の夏頃に自身のコンサルティングの会社を作りました。その会社を経営しているときに、CCOカズワタベ(@kazzwatabe)とtwitterを介して出会ったんです。彼も僕と同じようにクリエイターの課題を嘆いていました」
彼とブレストをしていてGrow!ボタンの前身となる「100円ボタン」を思いついたそうだ。ちょうどfacebookのlikeボタンが流行りだした頃だった。これを使ってクリエイターを支援しよう、と考え始めたのがGrow!のスタート。
「それから、思い付いたサービスを開発するに当たってCTOを探し始めました。そして、CTO斎藤幸士(@kojii)と出会い、ジョインしてもらうことになりました。彼と出会ったのもtwitter経由ですね」
彼は経済産業省がやっていたIPA未踏ソフトウェア創造事業卒業生で非常に優秀なエンジニア。世界で使われるようなプラットフォームを作りたいと気持ちが一致していたためジョインすることになった。
「最初にいれるCTOが非常に重要だと思っていたので、CTO候補だけは慎重に探しましたね。twitterでイケてる人を探し出し、その中からさらに会ってみて面談を重ねる…といった感じに。というのも、CTOが優秀じゃないと、そのあと入ってくるエンジニアも決まってくると思うんです」
優秀なCTOのおかげでGrow!Inc.ではエンジニア採用が上手く進んでいるようだ。創業メンバーには絶対CTOがいなければならないとよく言われるが、彼はそれを身を持って感じたらしい。
「あと、チームのメンバーはみんな家族みたいな関係だと思っています。一緒に会社を作ると、当たり前だけどずっと一緒に活動します。スタートアップだと特に4,5人なので、なおさら家族に近いですよね。創業したメンバーの年が上であれば兄ちゃんだし、年が下だと弟みたいなもんですよ。だから、もちろんケンカもします(笑)」
マネジメントはマネジメントと思っちゃダメだ!
「前職では年上の技術者の方々と働いていました。彼らはすごくロジカルなので、こういう背景で仕事をしてもらってるのかを知ってもらうことが大事だった。理想と現実との間にあるギャップには必ず理由があるので、知ってもらう必要がある」
例えば、ファイナンスで言えば「資金が必要なので、投資家と会う必要がある。そのために、成果を出す必要があり、成果出すためにリリースしなきゃいけない」などの理解を促すことが必要だという。
「チームのメンバーには、『気を使う以上に気を使って』いました。働いてもらうからには、気持ち良く働いてもらうことを意識しているので。僕はコードは書けないが、一緒に作っているんだという気持ちを持って経営しています」
サービスのリリース前は朝まで現場にいたり、とことんメンバーに付き合っていたそうだ。
「マネジメントで重要なのは、マネジメントだと思わないこと。チームのメンバーと共通の目標を持って、一緒になってモノづくりをしていればメンバーはついてくるし、動機付けになると思います」
成功のために心がけている3つのこと
「人生において心がけていることが3つあります。まず一つ目は楽観的になること。成功する起業家は楽観的じゃないですか?もちろん、悲観的に準備することも必要ですよ。最悪のシナリオを想定しないで前だけ見るというのはリスクヘッジが下手な例ですから」
楽観的に考え、チャンスを積極的に取りにいく人ほど成功する。当たり前のようだが、実行することは難しい。
「二つ目はチャレンジすること。みんな難しい選択肢は選ばないけれども、チャレンジをしている人は応援したくなる」
たとえ、不可能と思うことでも、目標が大きければ大きいほど周りの共感を呼ぶ。したがって、チャレンジする人は周りからの支援や手助けがある。
「三つ目は諦めないこと。起業家って諦めない人が多いですよね。どんなにお金が足りなくなっても、どうにかして工面しますよね。なんとかするんですよ。だから、僕も成功させるまで絶対諦めない」
著者プロフィール: Samurai Incubate Inc.所属 Entrepreneurs’ Mind編集長 両角将太Post Footer automatically generated by Add Post Footer Plugin for wordpress.