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This article was written on 18 9月 2011, and is filled under インタビュー記事累計, 鈴木仁士氏.

海外で起業する意義×鈴木仁士氏(2)


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海外で起業する意義×鈴木仁士氏(2)前回に引き続き、Wondershakeの鈴木仁士氏へのインタビュー。
前回はこちら→http://entrepreneursmind.net/?p=494

鈴木仁士氏
Wondershake.Inc CEO
Open Network Lab 第2期生
国際基督教大学卒業
TECLOSION 2011 最優秀賞
2011.9.12~14にサンフランシスコで開催されたTechCrunch Disruptにて Best Use of Social Data Award 受賞
HP: http://wondershake.com/jp/
twitter:@Doubles9124

 

 

学生は起業に有利

「”学生起業家”っていう言葉としてはあまり好きじゃない。だって、起業したら別にもう学生じゃないので」

学生のうちに起業した者の中には、学生というレッテルを貼られることに違和感を持つ起業家は多い。彼らはもう世界と戦っているのだ。

「ただ、学生のうちに起業する人はもっと増えてほしい。考える時間がかなりあるから凄く有利だと思います。例えば、1年のときに起業しようか悩んでみて、2年3年で勝負し、4年のときに落ち着く…みたいな。学生は、起業しようと思ってる社会人と比べると、考える時間は十分ある」

大学生に与えられる4年間のモラトリアム。この時間を有効利用すれば、社会人よりも起業しやすいという。

「ネットワークの面でも有利。学生ゆえにオープンに会ってくれる社会人の方々はたくさんいる。とことん人とお会いして、そこから学んでいきました」

しかし、注意すべきこともある。

「ただ、気を付けたほうがいいのは、年を言い過ぎるともったいないこと。むしろ聞かれなければ別に言わない方がいい。名刺を渡すときに『22歳です』というと、生身で評価されにくいと思うんだ。若いっていう先入観から入るから」

彼もいろんな社会人に会ってきたというが、そのキッカケになったのはなんだろう。

「自分も学生団体を作って、ベンチャーの創業者にインタビューしてました。半年くらい。もともと、自分の勉強のためってのはありますが。だけど、こういう情報って探してもあまりなかった。なので、これをネット上でいろんな人に見てもらおうと思い、ブログにしました」

彼は普通の就活が好きではなかった。そのため、就活しない道を進んでいる方々の人生を聞きたかったそうだ。

起業を決意したきっかけ

「実は、もともとは就活をしようと思っていたんです。1年生のときは投資銀行に行きたかった。そのときは『何故』ってよりは『何』にフォーカスしていたんだと思う。だけど、1年の冬頃にリーマンショックが起きた。ここで、就職について考え直してみたんです。考えているうちに、大企業の方がリスクが高いんだなーと思い始めました」

大企業に入ると結果を出さずともある程度の給料が出る。そのせいで甘んじてしまうことがリスクだと彼はいう。

「0から1を作った経験がないと、いざ作ろうと思ったときに作れない。社内事業でもいいと思うんだけど、あんまり誰かのもとで働くのが好きじゃなかった」

そこで、自分で会社を作ってやってみようと思い立った。

「だけど、当初はやりたいことは明確ではなかったです。だから、カンボジアやベトナムにバックパッカーしたり、NPO法人の活動をしたり、留学してみたりした。いろんな所に行ってみると新しい世界が次々に見えてくる。そんな中、留学中にITのスタートアップを見つけました。まさに自分がやりたいのは『これだ!』と思った」

発見したきっかけはTwitterだった。

「最初は留学中の情報収集のためにTwitterを使ってた。いろんな人のつぶやきを見てると、日本には予想以上にすごい人がたくさんいてびっくり。バーチャルだけど、Twitter上で挨拶したり、Skypeしたり、しているうちにWebってすごいんだな!と気付く。TwitterやFacebookは次世代のサービスだと思った」

GoogleやYoutubeとかweb2.0と呼ばれるものと比べ、TwitterやFacebookはインタラクションな会話がある。そこに彼は直感的に興味を持ち始めた。

「Twitterは2006年に生まれたばかりなのに、こんなに急成長するのかあと驚いた。Twitterですごいと思い、遡るとTwitterの創業者たちがいた。Macbookを見てすごいと思い、遡るとジョブズがいた。そんな風にこの人達がゼロから作ったんだと感動した。かっこいいなあ!って。なかなかできないんだろうなあと思ってはいましたが、誰かがやったんだから俺にもできるはず!と思い、やってみようと思った」

ITの分野での起業はますます増えている。初期投資もITではコストが低いので、ITによって起業のハードルは低くなっているのだ。

 

失敗は気にしない

海外に飛び出し、世界に挑戦していく中でいくつもの失敗があるだろう。そういった失敗を彼はどう捉えているのか。

「今までも小さな失敗はたくさんあったと思います。でも、その度に軌道修正して順調に行ってる。だから、失敗したとかあんまり覚えてないっす(笑)やっぱり、変人達は面白い人生を生きることに全てをかけてますよね。自分もそんな風に生きていきたい」

彼が変人というのは、常人離れしたクレイジーな人のことを意味する。

「例えば、サンフランシスコで会社を経営してる先輩がいるんですよ。彼は日本人とアメリカ人のハーフ。日本にほとんど住んでいたんだけど、大学を途中で抜けて、いきなりアメリカに渡った。現地に頼れる人はいないまま。家も決めてなかった。しかも、免許もないのに車を買った(笑)お金を貯めて、そこからライセンスを取った。そういう人はまず行動ありきで、考えすぎると足が重くなって結局やらないんだ」

クレイジーな人たちは行動力に長けているという。彼もすでにその1人のように感じる。

「また、成功者たちが声を揃えて言うことがある。それは、初めて起業するときは『目の前には落とし穴が10個』しかないと思って走り始めた。でも、『走りきってみたら、50個』もあったことに気がつく。知らないから走りきれた、という話。これには衝撃を受けた。年を取ればとるほど、100個も落とし穴が見えてきたりする。だから、走らなくなる。家庭を持つこともその一つだと思いますし。若いときの方が失うものが無いから、思い切ってやれるんだよね。失敗なんて恐れない」

アメリカの教育

彼の生まれは日本。2歳でナイジェリア、6歳で日本に帰国、小4でロンドン、高1で日本に戻り、大学3年でアメリカに留学している。幼い頃から日本以外の国を転々としていた。その見地から日本について語る。

「シリコンバレーやカリフォルニアでは失敗に対して寛容なんです。一方、日本は失敗に対して、というより普通と違うことをやることに対して寛容じゃないんだよね」

堀江貴文氏が逮捕されたのも、そういう日本人の特徴が伺える。

「あと、評価基準も違う。アメリカでは『正しいことをしたか』ではなく、『面白い人生経験を持っているか』で評価される。だから、起業家はかっこいい!って向こうでは思われるんだ」

また、東西の違いもあるという。

「もちろん一様には言えないけど、東海岸はスーツ族だと思います。大学もしっかりしてるし、投資銀行やコンサル等、エリートコースが多い。一方、西海岸はカジュアルな短パン族(笑)。東ではザッカーバーグみたいにパジャマでVCに会いに行く人は少ないと思う(笑)」

それに比べると日本はどっちつかず。カジュアルでもないし、固いわけでもない。ただ、出る杭が出ると叩く。アメリカでもメディアは同じ役割なので、叩くこともあるが、もっと民主的だそうだ。

「アメリカでは自己判断ができるよう教育を受けている。例えば、小学生くらいからやる『Show and Tell』というゲーム。自分の好きなものについて『なぜ好きなのか』というのをクラス中で発表させる。もちろん、発表内容は自分で考えさせる」

Show and Tellでは、やったことを褒められる。たとえ、下手くそな発表であってもいじめられたりはしない。

「こういう教育があるから、自己主張が激しくストーレートな表現ができる。だから、ゴールにたどり着くのが早い。そのおかげで、エレベーターピッチとかすごく大事にされるんだよね。 一方、日本は『自己を信じろ』よりも、『権威を信じろ』っていう教育。つまり、メディアや先生、上司を信じろっていうね」

シリコンバレーの投資環境

また、アメリカの投資環境も特徴的である。

「Y CombinatorのPaul Graham含め、アメリカの多くのエンジェル投資家は人を見て出資するかどうかの判断をする。もちろん、プロダクトも見るんだけどそれ以上に人を評価して決めるのは有名な話だと思う。以前上手くいったことのある人だったり、以前失敗をしたことがある人、失敗を恐れずに勝負出来る人。こういう人が相手を惹き付ける」

目利きの投資家は、起業家に潜むポテンシャルを見て評価をする。

「チームに優秀な人がただ集まるだけじゃ勝てない。最高な状態は、すごいポテンシャルと情熱をもった人たちが共通の問題を解決するために集まること。これはQuoraのShuくんも強調してるけど、まだ解けていない問題に対する答えを出すのがプロダクトであるべきだし、起業家であるべき。そして、起業家は世界に出してるプロダクトで評価されるべきだと思っています。そういう意味でWondershakeも日々裏で色々な仕掛けを準備しています」

シリコンバレーの源泉

「『ペイ・フォワード』っていう映画見たことあるかな?この映画が伝えたいことは『見返りを求めない善意』。例えば、誰か1人が3人に善意を贈り、受け取ったそれぞれも3人に贈れば9人に善意が行き渡る。こうやって、善意の連鎖が続けば、世の中はいい方向へ向かっていく。これがペイ・フォワードの考え方」

ミミ・レガー監督による『ペイ・フォワード 可能の王国』という作品。

「この考え方ってシリコンバレーの源泉なんだ。成功した先輩にアドバイスをもらっても、まだまだ先輩に返す力がないじゃですか?だから、先輩に返すんじゃなくて、自分が成功したら同じように困っている後輩の手助けをするという考え方。これがあるからシリコンバレーには勢いが生まれるんだろうね。この考え方がなかったら1世代の連鎖もなく終わってしまうよね」

少なくとも、今までにインタビューに協力してくれた起業家の方々は皆気付いている。だから、無償でアドバイスをくれる。

「一旦話は変わるけど、俺の恩師に藤沢烈さんという方がいます。その人にすごく意味深なことを言われました。『若い人達の方が俺も敵わないくらい優秀だよ』って。要は、誰かが既に成し遂げたことに関しては、できると知っているからできる。そもそも、誰もやったことが無いことには気付かないじゃないですか?だから、烈さんが今までやってきたことは君たちにはできる。俺がやり方を教えることができるから。だから、少なくとも俺を超えることはできる。という話をしてくれて、「なるほどなー」と感心しました」

藤沢烈氏(@retz)は株式会社RCFの代表取締役。外資コンサルを経て、ベンチャー企業向けにコンサルを行っている起業家だ。

「烈さんの話とさっきの「ペイ・フォワード」の話は似てるよね。この2つの話をくっつけると、下の世代の方が絶対にデキるんだから上の世代を超えなければいけないということ。そこで、俺自身が22歳で何ができるかなって思ったら、世界で成功すること。もし、成功できたら「ペイ・フォワード」できる。俺より下の世代が、自分を超えるようなきっかけになるよね」

彼は夢について話すとき、楽しそうに話す。迷いが少しもなく、成功だけを見つめる前向きな心を持っている。

「『日本人でも海外で戦えるんだ!!』っていう事例がどんどん出れば、下の世代にも選択肢が増える。『中田英寿』がローマでプレーして夢を与えたのと同じように、『鈴木仁士』は海外で活躍する日本人起業家として下の世代が目指す目標になりたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(文 両角@ryokado)

ありがとうございました!
仁士くんの記事はこれで終わりです。
次回はライフネット生命の岩瀬大輔さんです!

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